2019年4月19日
猫ノミによる皮膚炎などの症状はあなどれない!人間に症状をもたらす可能性もある?
愛猫が猫ノミに感染してしまうと、皮膚炎などのさまざまな症状が発生します。そして恐ろしいことに、猫ノミは人間にも害をもたらす可能性があることはご存知ですか?今回は、猫ノミが猫や人間にもたらす症状の種類を詳しくご説明したうえで、獣医さんでの診断の流れと、おすすめの猫ノミ対策・治療のお薬の情報をお伝えしていきます。
猫ノミによって猫にもたらされる主な症状とは?
猫ノミが猫にもたらす主な症状は、以下のとおり、非常に多くの種類があります。ひとつひとつ内容を確認して、猫ノミの感染によってどのような危険性があるのかを把握しておきましょう。
目次
1:貧血症状
猫ノミは体調1mm〜2mm 程度の小さな吸血生物ですが、体が小さいとはいえ、大量の猫ノミに感染した場合、血を吸い続けられることによって貧血症状を起こすことがあります。特に、身体の小さい子猫や、小型の品種の猫では貧血症状があらわれやすいので、注意が必要です。
2:細菌の二次感染症状(化膿性皮膚炎 かのうせいひふえん)
猫ノミに刺された箇所を、猫が掻きむしって傷がつくことにより、その部位に細菌が入り込んで、皮膚が化膿してしまう場合があります。頻繁に身体を掻く動作が増えてきたら、猫ノミの症状である可能性があるので、愛猫の身体をチェックしてあげましょう。
3:条虫症(瓜実条虫 うりざねじょうちゅう)
瓜の種が連なったような形をしている瓜実条虫(うりざねじょうちゅう:サナダムシの一種)の卵を、猫ノミの幼虫が食べ、体内に卵を持ったまま、猫ノミの成虫まで発育する場合があります。このような猫ノミを猫がグルーミングによって舐めとってしまうと、猫の小腸に瓜実条虫が寄生し、下痢や嘔吐の症状をもたらすことがあるのです。
4:ノミアレルギー性皮膚炎
猫ノミがもたらす症状の中で、もっとも多い症例としてあげられるのがノミアレルギー性皮膚炎です。お腹・首・背中などの広範囲に左右対称の赤い点状のブツブツが出ます。猫ノミが寄生して吸血した際に出す唾液がアレルゲンとなって、激しいかゆみを発症させるもので、この症状が出た場合、猫がひどくかゆがって患部を掻きむしるため、出血を伴うこともあるほどです。
やっかいなことに、一度でもノミアレルギー性皮膚炎にかかると、その後はたった1匹の猫ノミが寄生しただけでも同症状に悩まされることがあり、完治には時間がかかります。なお、昨今では、アトピー性皮膚炎を罹患している動物がノミに感染すると、症状が悪化するケースも確認されています。
5:猫ヘモプラズマ感染症
猫ヘモプラズマ感染症は、猫の赤血球に病原体が寄生することにより、赤血球が破壊され、溶血性の貧血を起こすことがある症状です。この症状の感染経路のひとつとして、媒介となる猫ノミによる吸血が考えられています。急性期の臨床症状については、発熱、元気消失、食欲不振、黄疸(おうだん)、沈鬱(ちんうつ)、脱水、脾臓の腫大、血色素尿といった、さまざまな症状がみられます。
6:毛ヅヤの消失
猫ノミの感染によって、本来の美しい毛並みのツヤが失われ、ガサガサとした体毛となってしまう場合があります。ひどい場合には、脱毛の症状などを発症することもあるため、毛ヅヤの変化や毛並みの状態はしっかりと観察するようにしておきましょう。
7:吸血の刺激・かゆみによるストレス症状
猫ノミの吸血による刺激で、激しいかゆみによってストレス症状を発症する場合があります。愛猫の心身の健康を守るためにも、猫ノミの症状は早期に解決することが重要です。
猫ノミは人間にも害を及ぼす!人間が発症する主な症状とは?
猫ノミは、猫だけでなく、人間にも害を及ぼします。猫ノミによって人間にもたらされる主な症状とはどのようなものかを、詳しくみていきましょう。
1:ノミ刺咬症(しこうしょう)
人間が猫ノミに刺されると、皮膚上に直径1cm 程度の紅斑や丘疹がみられ、10 分〜48 時間 前後で激しいかゆみが起こります。患部を掻きむしることによって細菌が入り込んで、二次感染による化膿が発症することがあります。ひどいときは水ぶくれになることもあるため、注意が必要です。
2:猫ひっかき病
バルトネラ・ヘンセラエと呼ばれる菌に感染した猫に人間が引っかかれたり、噛まれたりすることで、患部が化膿したり、リンパ節に腫れがみられたり、発熱や頭痛などの症状を起こすことがあります。この猫ひっかき病は、猫ノミを媒介にして、猫から猫へと感染していきますが、宿主となる猫には症状がみられないため、飼い主に症状が出るまで気づかれないケースがほとんどです。
3:条虫症(瓜実条虫)
瓜実条虫の卵を体内に持っている猫ノミを人間が手にとって潰すなどした場合、瓜実条虫の卵が手に付着することがあります。そのまま、その手で食物を食べるなどすると、卵が体内に寄生して、下痢などの症状を発症します。感染を防ぐためにも、猫ノミは指先でつぶさずに、水につけて溺死させるのが有効です。
猫ノミの症状がみられたら獣医さんへ!診断の流れをご紹介
猫ノミの症状の可能性がある皮膚炎などが愛猫にみられた場合は、獣医さんへ速やかに相談しましょう。ここでは、「獣医さんに行ったことがないので不安」という方のために、診断の流れを簡単にご紹介していきます。
1:問診
獣医さんに相談へ行った場合、まずは問診を受けます。内容としては、かゆみの状況(いつからかゆがっているか、かゆみは日ごとに増しているか、など)や、猫の生活状況(外には出るか、のら猫や他の猫との接触はあるか、同居している動物はいるか、など)を中心に質問を受けます。脱毛や発疹など、目に見えてわかる症状がある場合には、そちらも獣医さんに伝えましょう。
2:猫ノミの有無を確認
問診が済んだら、猫ノミが実際に猫の体表に寄生しているかどうかを確認します。目視で猫ノミを確認する場合もありますし、砂のつぶ程度の大きさの猫ノミの糞(砂のつぶ程度の大きさ)を発見する場合もあります。
3:皮膚・被毛の検査
皮膚や被毛の状態を確認したり、病変部の組織を採取したりして細菌や真菌などを培養することによって、どのような原因で発症している皮膚病なのかを確認することもあります。
4:アレルギー検査
皮膚病がアレルギー起因である可能性がある場合は、アレルギー検査を行うことで、具体的に何にたいしてのアレルギーなのかを調べることができます。猫ノミがアレルギーの原因となっている場合は、この検査によって判明します。
5:血液検査
体内の異常が皮膚病の原因となっている場合も考えられるため、アレルギー検査などと併せて血液検査を行うこともあります。
猫ノミの症状の対策なら獣医さんが処方する
ブラベクト®スポット猫用
猫ノミの症状を抑えるためには、猫の体表に潜む猫ノミを駆除するお薬が不可欠です。病院で処方されるお薬である「ブラベクト®スポット猫用」は、とても有効なノミ駆除薬です。
有効成分「フルララネル」は、猫ノミだけでなく、マダニの駆除・対策にも効果を発揮します。効果の持続期間についても、3か月と長いため、他のスポットタイプのお薬よりも投与に手間がかかりません。首筋に投与するため、グルーミングでお薬を舐めとってしまう心配もなく、24 時間以内に効果を発揮する速効性も期待することが可能です。
愛猫が猫ノミの症状に悩まされているオーナー様は、この機会にぜひとも獣医さんにご相談のうえ、「ブラベクト®スポット猫用」の処方を受け、使用を検討してみてください。
監修者情報
MSDアニマルヘルス株式会社 コンパニオンアニマル事業部 テクニカルサービス
獣医師 釜田 尚彦
東京大学農学部獣医学科卒
運営者情報
- MSDアニマルヘルス株式会社
- 住所:東京都千代田区九段北一丁目13番12号 北の丸スクエア
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