2020年8月5日
犬のしゃっくりが止まらない!しゃっくりの止め方や頻度が多い場合の対処方法や病気について
「犬のしゃっくりが止まらない」という症状にお悩みの飼い主の方は、きっといらっしゃることでしょう。そのままにしておいても自然に治まるケースは多いものの、しゃっくりが頻繁に起こる場合には、何らかの病気が関係していることも考えられます。今回は、犬のしゃっくりが止まらないときの止め方や対処方法などについて、詳しくお伝えしていきます。
犬はなぜ、しゃっくりをする?主な原因とは
ここでは、犬がなぜしゃっくりをするのか、その主な原因を見ていきましょう。
目次
・食事を急いで食べ過ぎて胃が広がっている
しゃっくりは、横隔膜に刺激がかかった場合に出やすくなります。犬が食事を早食いする癖がある場合、胃が急にフードで満たされて急激に大きくなったり、同時に飲み込む空気の量が多くて胃が拡張したりすることで、しゃっくりが出るのです。
・与えている餌が合っていない
犬に与えるドッグフードには、ドライフードやウェットフードなど、様々な種類があります。与えている餌が犬の体質に合っていないと、消化された際にガスが発生して、胃が拡張しやすくなり、結果的にしゃっくりが出やすくなることがあります。
・胃が冷えている
夏場に水を飲みすぎたり、冷たいものを食べすぎたりして、胃が急激に冷やされると、横隔膜が刺激されて、しゃっくりが出やすい状態になります。暑い時期だからといって、夏場に氷水などを犬に与えるのは避けたほうが良いでしょう。
・不安やストレスを抱えている
犬が不安やストレスを抱えていると、交感神経の働きが乱れ、呼吸が荒くなり、しゃっくりが出ることがあります。リラックスしている時間や、ストレス発散の時間が足りないとみられる症状です。
犬のしゃっくりの止め方
それでは、犬のしゃっくりを止めたい場合は、どうすれば良いでしょうか。
・1回の食事の量を減らし、与える回数を増やす
食後にしゃっくりが起こりやすい場合には、1回の食事の量を減らし、その分、与える回数を増やすことで、胃が拡張しすぎる現象を防ぐと良いでしょう。底の部分に突起がある食器を使えば、犬の早食いを防止することもできます。
・フードを切り替える
食後のしゃっくりが気になる際には、ドライフードやウェットフードなどのパッケージを確認したうえで、獣医師に相談し、犬の体質に合ったフードの切り替えを検討すると良いでしょう。
・水を飲ませる
呼吸が乱れることでしゃっくりが出ている場合には、お水を適量飲ませることで、呼吸を整えさせることができます。ただし、犬が水をがぶ飲みすると、鼻に入ってさらに呼吸が乱れたり、胃の拡張の原因になったりする場合があるので、少量ずつ与えるのがベストです。
・おやつを与える
犬がストレスや不安などを感じている際には、おやつを少量与えることで、好奇心と食欲を満たし、呼吸を落ち着かせることができる場合があります。大きな形状のおやつは、喉に詰まらせる可能性があるため、犬の口のサイズに合ったおやつを適量与えるようにしましょう。
・胃と肋骨の間のあたりをマッサージする
胃と肋骨の間のあたりを「みぞおち」と呼びますが、このあたりに横隔膜があるため、マッサージをすると緊張がほぐれ、しゃっくりが止まりやすくなります。強くマッサージするのではなく、あくまでもやさしく行うのがポイントです。
・軽い散歩に連れていく
しゃっくりが止まらないときは、軽い散歩に連れていくことで、体のリズムが整い、治まることがあります。様子を見たい場合は、外出させるのではなく、まずはお家の中を軽く歩かせてみると良いでしょう。
犬のしゃっくりから考えられる病気とは
犬のしゃっくりから考えられる病気についてお伝えしていきます。
・胃拡張または胃捻転
胃が急激に広がることで起こる胃拡張や、胃がねじれてしまう胃捻転などの症状がある際には、胃が横隔膜を押し付けて刺激するため、しゃっくりが出やすくなるとされています。
早食いなどの癖によって、一時的に横隔膜が刺激されているなら、放置していても良いのですが、お腹の上部が強く張っていて、犬が苦しんでいる場合、命に関わることもあるため、すぐに動物病院で獣医師の診察を受けさせましょう。
・心膜炎または胸膜炎
心膜炎または胸膜炎の場合も、横隔膜が刺激されるため、しゃっくりが出やすい状態になるといわれています。どちらの病気についても、咳、呼吸の乱れ、運動の嫌悪などの症状がみられます。これらの目に見えた症状が出ている場合は、すでに心膜炎または胸膜炎の進行は進んでしまっている可能性が高いため、できるだけ早く獣医師に相談しましょう。
・脳神経の障害
犬の脳神経に障害がある場合、筋肉に脳からの指令がうまく伝達されず、誤った指令が肉体に伝わることで、横隔膜の収縮が繰り返され、しゃっくりが止まらなくなることがあります。このような症状は、犬の脳腫瘍やてんかんを発症している場合に起こりやすいとされます。
脳神経の障害によるしゃっくりの場合、しゃっくりがかなりの長時間続いたり、何度も頻繁に繰り返したりするのが特徴です。このような症状がみられた場合には、放置せずに最寄りの動物病院へ連れて行き、獣医師から意見をもらうようにすると良いでしょう。
犬のしゃっくりと勘違いしやすい逆くしゃみや吐き気について
犬のしゃっくりについて詳しくお伝えしてきましたが、できる限り正確に症状を見極めるためにも、犬のしゃっくりと間違えやすい吐き気や逆くしゃみの症状があることも知っておきましょう。
・犬の逆くしゃみ
犬のしゃっくりによく似た症状に、逆くしゃみと呼ばれる発作性の症状があります。くしゃみは息を吐き出すことで発生するものですが、逆くしゃみは息を吸い込んだときに発生する特徴があります。
逆くしゃみは、短頭種の犬や、小型犬などにみられることが多いです。逆くしゃみは重い病気の原因になることは少なく、数分で止まることがほとんどです。しかし、重症の場合や、中年期および高年期で発症した場合は、喉や鼻に異常がみられることもあるため、注意が必要です。
・犬の吐き気および嘔吐
犬が吐き気を催し、嘔吐をする際には、腹筋を数回ほど収縮させます。このとき、胃を収縮させるお腹の動きが、しゃっくりと似た症状を引き起こすことがあります。中には、嘔吐するのを我慢してしまう犬もいるため、しゃっくりと勘違いしてしまう場合もあるようです。
たとえ嘔吐に至らなくても、吐き気を催しているということは、何らかの病気や体調不良であることは考えられるため、症状が続くようであれば、獣医師に相談した方が良いでしょう。
犬のしゃっくりで病気や体調不良が疑われる場合には、獣医師の診察を受けよう
今回は、犬のしゃっくりの原因や、止まらないときの止め方、考えられる病気などについて詳しくお伝えしてまいりました。
犬のしゃっくりの症状が過剰にみられる際には、先ほどもお伝えしたとおり、何らかの異常や疾患、体調不良によって引き起こされていることが考えられます。内臓疾患が原因のしゃっくりは、場合によっては重篤な症状につながるケースもあります。
心配な場合には犬のしゃっくりを放置せず、早めに動物病院に連れて行って獣医師から診察を受け、早期に原因を究明し、治療を行うことを心がけてください。
監修者情報
MSDアニマルヘルス株式会社 コンパニオンアニマル事業部 テクニカルサービス
獣医師 釜田 尚彦
東京大学農学部獣医学科卒
運営者情報
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