2021年3月31日
犬のノミダニ対策の薬はどれくらいの期間必要?駆除薬の必要性と投与・効果の時期について
犬にノミダニが寄生しないように、駆除を考えておくことは非常に重要です。今回は、犬のノミダニ対策の薬は、具体的にどれくらいの期間の投与が必要となるのか、駆除薬の必要性や、投与後の効果の持続する時期について、詳しくご紹介してまいります。
犬に寄生するノミダニの代表的な種類とは
犬に寄生するノミダニの代表的な種類として挙げられるのが、ネコノミとマダニです。ここでは、どのような生態で、どの期間に繁殖が行われるのかをお伝えします。
・ネコノミ
犬に寄生するノミは、日本では約80種類が存在するとされていますが、犬に関わるノミは、そのほとんどがネコノミだと言われています。
ネコノミは体長1.5〜3mmほどで、肉眼でも確認することができ、高さ30㎝ほどまでジャンプして移動するため、犬の身体に寄生しやすく、飼い主の衣服などにも付着して持ち込んでしまう可能性があります。
ネコノミが繁殖する期間は、主に春から秋にかけて盛んになります。気温が13度以上になると繁殖が始まり、20〜30度で繁殖するスピードが活発になり、大量発生します。なお、暖かい室内であればこの限りではなく、冬でも繁殖する危険性が高いです。
ネコノミは、卵から孵化して成虫となり、次に卵を産むまでに最短で2週間前後という驚くべき早さであるため、放置しておくと大量増殖する可能性があり、早期の治療と駆除対策が必要となります。
・マダニ
犬に寄生するダニの種類の中でも、気をつけなければならないのはマダニです。マダニは、家の中に住む目に見えない約0.2〜0.4mmの微小なダニ(イエダニ・ヒゼンダニ)と比べるとかなり大きく、約8mm程度で、吸血すると20mm程度まで巨大化することがあります。
マダニは、春から夏にかけては成ダニが活発に活動して繁殖します。一方、秋から冬には、卵から孵化した幼ダニ・若ダニが活動を始めるため、通年で気をつける必要があります。
ネコノミと同様に、マダニも凄まじい繁殖スピードを持っており、繁殖する条件が整っている場合、1ヶ月で1匹のマダニが2,000〜3,000個の卵を産む恐れがあるため、犬が寄生されていることがわかった場合は早期の対策が必須です。
犬に寄生するノミダニで発症する可能性のある病気
犬に寄生するノミダニは、痒みの症状を発症させる以外に、様々な病気をもたらす危険性があるため、発見した場合は放置せず、早期に治療が必要となります。
・ネコノミに感染した場合に発症する可能性のある病気
犬がネコノミに感染すると、激しい痒みが出るほか、貧血、ノミアレルギー性皮膚炎、瓜実条虫(サナダムシ)による条虫症などを発症する恐れがあり、重篤な症状に発展する可能性もあるため、注意しなければなりません。
・マダニに感染した場合に発症する可能性のある病気
犬がマダニに感染すると、痒みをもたらすほか、貧血、アレルギー性皮膚炎、ダニ麻痺症、栄養障害などの病害を引き起こす恐れがあります。その他、バベシア症、日本紅斑熱、ライム病、Q熱、エールリヒア症などのマダニを媒介とする病気を併発する危険もあるため、注意してください。
特に、マダニを媒介とする重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、犬だけでなく人間にも感染し、死亡例も見られます。そのため、愛犬がマダニに感染していることが分かった場合には、放置することなく、早期に動物病院で治療を受け、対策を実施するようにしましょう。
犬のノミダニ駆除薬を投与する期間
犬のノミダニ予防薬を投与する期間は、春から秋にかけて、毎月1回程度を目安に投与を実施するのがベストです。
先ほどもお伝えした通り、ネコノミやマダニは、特に20〜30度、湿度70%程度で繁殖が活発化する傾向があるため、温度と湿度が上がる5〜10月あたりは、しっかりと駆除対策をする必要があると言えるでしょう。
犬のノミダニ駆除薬は通年で必要?
犬に寄生するノミダニは、基本的に気温や湿度が高まると繁殖を活発化する傾向があることは、先に述べた通りです。
そのため、冬はノミダニ対策が不要であると考える方もいるかもしれませんが、マダニは秋から冬にかけて、卵から孵化した幼ダニや若ダニが活動を始める時期でもあります。
また、ネコノミについても、室内であれば繁殖に適した環境は年中整っている状態であると言えるので、犬のノミダニ対策は通年で行なっても全く問題はありません。
ただし、通年で行う場合はその分だけ費用がかかるため、その点は考慮した上で対策を実施する必要があります。
駆除薬の種類
犬のノミダニ対策の駆除薬には、経口のチュアブルタイプと滴下するスポットタイプの2種類があります。
・経口のチュアブルタイプ
食べ物のように経口で与えるチュアブルタイプのノミダニ駆除薬は、嗜好性が高く、おやつ感覚で美味しく犬に食べてもらえるように工夫がされています。ジャーキー系やクッキー系のフレーバーなどがついているため、錠剤の内服薬と違って、摂食を拒否されるリスクが少ないです。
投与した後に、すぐにシャンプーをしたり、スキンシップを行ったりすることができるメリットも挙げられます。ただし、チュアブルタイプはアレルギー体質の犬には与えられない場合があるため、事前に犬のアレルギー気質を獣医師にチェックしてもらう必要があります。
・滴下するスポットタイプ
薬剤を皮膚表面に滴下することでノミダニ駆除の効果が期待できるスポットタイプの薬剤もあります。スポットタイプの場合、犬の首のあたりに薬剤を垂らすだけで簡単に投与することができるため、とても手軽です。
錠剤を飲むことを拒否する犬や、チュアブルタイプの薬剤はアレルギー気質のために投与できない犬などには、スポットタイプのノミダニ駆除薬を投与します。ただし、錠剤やチュアブルタイプとは違い、投与した後すぐにシャンプーを行ったり、スキンシップをしたりすることができないデメリットはあります。
犬のノミダニ駆除薬の効果が持続する期間
犬のノミダニ駆除薬の効果が持続する期間は、一般的には1ヶ月程度となるため、毎月1回の投与が目安となります。ただし、薬剤によっては、3ヶ月効果が持続するタイプもあるので、毎月1回の動物病院への通院が負担となる場合などは、うまく活用すると良いでしょう。
ノミダニ駆除薬の処方を動物病院で受ける場合、特に検査は必要ありません。ノミダニだけでなく、フィラリアの予防も合わせて行いたい場合には、血液検査を実施する必要があるため、その点は留意しておきましょう。
犬にノミダニが寄生している場合は、
早めに動物病院で獣医師の診断を受けるようにしましょう
今回は、犬のノミダニ対策の薬は、具体的にどれくらいの期間の投与が必要となるのか、予防薬の必要性や、投与後の効果の持続する時期について、詳しくお伝えしてまいりました。
動物病院で獣医師の診断を受けることで、ノミダニの具体的な対策方法を教えてもらったり、駆除に効果のある薬を処方してもらったりすることができます。
また、動物病院で健康診断を受けることにより、ノミダニの寄生をチェックしてもらう以外にも、病気に罹患している可能性などを併せて診察してもらうことが可能です。
犬は、猫と比べると、外に散歩へ行く際にノミダニに感染されるリスクがあるため、完全室内飼いではない場合は、定期的に動物病院で診察を受け、駆除対策を万全にするようにしましょう。
監修者情報
MSDアニマルヘルス株式会社 コンパニオンアニマル事業部 テクニカルサービス
獣医師 釜田 尚彦
東京大学農学部獣医学科卒
運営者情報
- MSDアニマルヘルス株式会社
- 住所:東京都千代田区九段北一丁目13番12号 北の丸スクエア
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