犬の耳掃除は必要?正しい方法や頻度・外耳炎などの気をつけるべきトラブルについて解説

 

犬を飼う場合に、必要となる重要なケアのひとつに耳掃除があります。今回は、耳掃除の正しい方法、おすすめの頻度、外耳炎などの気をつけるべき耳のトラブルなどについて、基礎知識を詳しくご紹介していきます。

 

 

犬の耳掃除は必要?頻度はどれくらいがベストか

 

犬の耳は、外耳、中耳、内耳の3つの部位があります。犬の耳は、人間の持つ耳とは異なり、耳から鼓膜にかけて続く外耳道と呼ばれる部位はL字型となっており、奥の方まで確認することができない構造です。

このような構造であることから、例えば、犬の耳の中に水が入った場合、耳の中が蒸れてしまって菌の増殖が発生し、耳垢が詰まって病気に発展することもあります。こうしたトラブルを避けるために、定期的な耳掃除は愛犬の重要なメンテナンスとなるのです。

プロのトリマーや、動物病院の獣医師からの健康診断などを定期的に受けている場合は、その際に耳掃除を対応してもらうことができますが、放置しておくとトラブルが発生してしまう可能性もあります。犬の耳掃除は、頻繁に行う必要はありませんが、汚れが目立つなどの際には月1〜2回程度は実施するのがベストです。

 

 

耳に関するトラブルが起きやすい犬の種類とは

 

 

耳の垂れている犬種、耳毛の多い犬種、耳道の狭い犬種、耳垢の多い犬種などは、耳に関するトラブルが起きやすいため、耳掃除が必要であるとされています。

具体的な犬種名は、以下の通りです。

 

・耳が垂れている犬

ミニチュア・ダックスフンド、ゴールデンまたはラブラドール・レトリーバー、トイ・プードル、バセット・ハウンドなど

 

・耳毛の多い犬

プードル、ミニチュア・シュナウザーなど

 

・耳道の狭い犬

フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグ、パグなど

 

・耳垢の多い犬

アメリカン・コッカー・スパニエル、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、シー・ズーなど

 

 

犬の耳掃除をすれば健康状態をチェックできる

 

犬の耳掃除をすることで、耳垢を観察し、健康状態をチェックすることも可能です。健康な場合は、耳掃除を行なっても、内部がピンク色で余分な耳垢が出ていない状態となります。

一方、黒くて湿気を帯びた耳垢、黄色くて臭い液状の耳垢、茶色い湿った耳垢などが出る場合、外耳炎、マセラチア皮膚炎など、耳に関連した病気を発症している可能性もあるので注意が必要となります。

万が一、上記のような注意すべき耳垢が出ている際には、動物病院に連れていき、病気の可能性がないかどうか獣医師から診断を受けるようにしましょう。

 

 

自宅でできる!犬の耳掃除の正しい方法

 

 

自宅で行う犬の耳掃除の方法としておすすめなのは、イヤーローションを使った耳掃除です。

① イヤーローション(犬猫用の耳洗浄剤)、繊維が細やかなコットンガーゼ、鉗子(かんし:ガーゼを摘める器具)を用意しましょう。なお、イヤーローションは速乾性のものを選ぶのがおすすめです。

② 犬の耳の中を確認し、炎症などが発生していないかどうかチェックしてください。万が一、炎症があった場合は、無理に耳掃除をせずに動物病院で診断を受けましょう。

③ イヤーローションを耳の中に数滴垂らしてください。嫌がる場合は、コットンガーゼに染み込ませて外側からマッサージしながら馴染ませるのがおすすめです。耳の中の毛が多い犬種の場合は、鉗子を活用して毛を抜いてから汚れを取ります。この際に、耳垢や汚れは擦って取るのではなく、耳の中を傷つけないようにイヤーローションで浮かせて取るようにしましょう。

④ 汚れを拭き取った後は、丁寧にイヤーローションを拭き取り、しっかりと乾かすようにしましょう。耳の奥に水分が残っていると、中耳炎などのトラブルになる可能性もあるので注意が必要です。

自宅での耳掃除に不安がある場合は、動物病院で獣医師に対応してもらうのがベストです。

 

 

犬の耳の病気とは

 

・外耳炎

耳垢が主に作られるのは外耳と呼ばれる部分です。そのため、耳に関連するトラブルが最も多く見られるのは外耳となります。注意すべき外耳炎の症状は以下の通りです。

 

– マセラチア性外耳炎

マセラチア性外耳炎では、耳垢の増加や食物のアレルギーなどで耳の中の環境が変化すると、マセラチアと呼ばれる常在酵母が異常に増え、黒または茶色の耳垢がべっとりとつくようになり、悪臭を放つようになります。

– 細菌性外耳炎

マセラチア性外耳炎と同様に、犬の皮膚に常在する細菌が異常に増殖すると、細菌性外耳炎を発症することがあります。多くの場合、細菌性外耳炎は、マセラチア性外耳炎も併発する危険性があるため、注意が必要です。

– 異物を原因とする外耳炎

犬を散歩に連れて行く際に、植物の種などの異物や、雨の水などが耳の中に入り込んでしまった場合、その刺激の作用によって、外耳炎を発症することがあります。犬は好奇心旺盛で、草むらに顔を突っ込んで散策することも多々あるため、日頃から散歩に連れて行く際には注意しましょう。

 

・内耳炎

外耳炎の治療が遅れて症状が進行してしまうと、内耳炎にまで病状が発展してしまうケースがあります。内耳は聴覚だけでなく、体のバランスを取る平衡感覚を保つための器官でもあるため、内耳炎を発症すると様々な感覚障害がもたらされることになります。平衡感覚が狂ってしまうため、吐き気などの症状が頻繁に見られるようになり、炎症が進行すると顔面神経麻痺などの重篤な症状にまで至ることもあるため、要注意です。

 

・中耳炎

犬の鼓膜に異常が生じた場合、中耳炎となることがあります。犬の中耳炎のほとんどが、外耳炎の炎症が発展して起こります。中耳炎になると、犬は耳を触られることを嫌がり、神経症状が見られることもあります。目の交感神経の異常などが見られることがあり、顔面障害を発症すると、食事の際に食物を口の片側に詰まらせたり、唇が異常に垂れ下がって見えたりします。これらの症状が見られる場合は、動物病院で医師の診断を早期に受ける必要があります。

 

 

犬の耳掃除を行い、中耳炎などの疑いがある場合は、動物病院で獣医師の診断を早めに受けましょう

 

今回は、耳掃除の正しいやり方、おすすめの頻度、外耳炎などの気をつけるべき耳のトラブルなどについて、基礎知識を詳しくご紹介してまいりました。

犬の耳掃除は頻繁に行う必要はありませんが、耳垢の状態を確認して健康状態を確認することができるほか、万が一、病気を発症している場合にも、兆候を確認して早期に症状を発見することができるメリットがあります。

ここまでご紹介してきた通り、耳のトラブルによる外耳炎・内耳炎・中耳炎などを発症した場合、放置していると症状が悪化して重篤化し、犬の日常生活に支障が出てしまいます。そのため、これらが原因と思われる症状が疑われる際には、そのままにしておくことなく、出来るだけ早めに動物病院で獣医師の診断を受けることが重要です。

もし、犬の耳掃除を自宅で行うことが難しい場合には、動物病院に連れていけば、獣医師に対応してもらうことができ、健康診断を行なって、気をつけるべき病気のチェックや、ノミダニの寄生の有無などを確認してもらうことが可能です。

かかりつけの動物病院を持っておけば、万が一の際にも直ぐに治療を受けることができるため、日頃から動物病院で獣医師の診断を受ける習慣を持っておくことが肝心です。

監修者情報

MSDアニマルヘルス株式会社 コンパニオンアニマル事業部 テクニカルサービス
獣医師 釜田 尚彦
東京大学農学部獣医学科卒

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