猫がゴロゴロと喉を鳴らす本当の意味とは?ゴロゴロ音を発する仕組み・理由・効果について

 

 

猫が「ゴロゴロ」と喉を鳴らす姿を、見たことがある方は多いことでしょう。しかしながら、このゴロゴロ音にいったいどんな意味があるのか、考えたことはありますか?

 

今回は、猫がゴロゴロと喉を鳴らす本当の意味について、詳しく解説していきます。ゴロゴロ音を発する仕組みやその理由、もたらす効果などについての基礎知識をチェックしていきましょう。

 

 

 

猫がゴロゴロ音を出す仕組みとは

 

 

猫のゴロゴロ音は、人間の「喉仏(のどぼとけ)」にあたる部位の筋肉が収縮して、声帯を振動させることによって発生します。つまり、普段は鳴き声を出している部位から、独特のゴロゴロ音を出しているということです。

 

 

 

猫はどんなときにゴロゴロと喉を鳴らすのか?その理由とは

 

 

それでは、猫はどのようなときにゴロゴロと喉を鳴らすのでしょうか。その理由を見ていきましょう。

 

 

・笑顔を意味するゴロゴロ音

 

猫は機嫌が良いときにゴロゴロ音を出します。飼い主が近くにいたり、幸せを感じたりしているときにゴロゴロと喉を鳴らすのです。これは、人間に置き換えると「笑顔」の意味合いを持っていると言えます。

 

飼い猫を撫でているときなどに、目をつむって、気持ち良さそうな顔でゴロゴロと喉を鳴らしている場合は「喜んでいるのだな」と判断して良いでしょう。

 

 

・親子間のコミュニケーションとしてのゴロゴロ音

 

喉を鳴らすゴロゴロ音は、母猫と子猫の間のコミュニケーション手段としても活用されています。母猫は、ゴロゴロ音を出すことによって、子猫に合図を送り、親が近くにいることを知らせようとします。

 

子猫は、生まれたての頃はゴロゴロ音を出せないものの、生後2日〜1週間くらいまでには自力で出せるようになるまで成長します。子猫が出すゴロゴロ音は、母猫に健康体であることを知らせる意味を持っていると言われています。なお、生後3週間程度までの子猫の場合、ゴロゴロ音は成猫と比べると小さめである特徴があります。

 

 

・危機に直面したときや苦しいときのゴロゴロ音

 

猫が出すゴロゴロ音は、ここまでは良い意味のものばかりでしたが、危機に直面したときや苦しいときにも発せられることがあります。

 

たとえば、怪我をして身体が痛むときや、具合がわるいとき、喧嘩を避けたいとき、分娩しているとき、瀕死の危機にあるときなどが挙げられます。

 

そのため、嫌なことや痛いことをされているときに、猫がゴロゴロと音を出している場合には、リラックスしているのではなく、ピンチの到来を感じている可能性があると言えます。このようなゴロゴロ音は、喜んでいるときに出す際と比べて、低い音になるのが特徴です。

 

 

 

猫のゴロゴロ音は音域によって意味が変わる?

 

 

 

 

猫のゴロゴロ音は、音程によって意味が変わるという特徴があることをご存知でしょうか。ここでは、音程ごとの意味について、詳しくお伝えします。

 

飼い猫のゴロゴロ音をなるべく正確に聞き分けたい場合は、普段のゴロゴロ音をスマートフォンなどで録音しておき、シチュエーションごとに聴き比べてみるとわかりやすいでしょう。

 

 

・子猫が元気なときに出すゴロゴロ音は中低音

 

子猫が元気なときに出すゴロゴロ音は、中低音の音程となります。子猫がゴロゴロ音を出すことができるようになるのは、前出のとおり、生後2日〜1週間程度まで成長した段階です。おっぱいを飲みながら、あるいは、母猫とじゃれ合いながら、ゴロゴロと喉から中低音を出します。

 

また、子猫の世話をしている親猫が出すゴロゴロ音も、似たような中低音です。こちらは、まだ目や耳が発達していない子猫に、音だけでなく、振動によって自分の存在を知らせるために発しているとされています。

 

 

・リラックスしているときに出すゴロゴロ音も中低音

 

飼い主に撫でられてリラックスしているときや、ご飯を食べているとき、幸せな気分で過ごしているときなどに出すゴロゴロ音は、中低音の音程です。

 

多頭飼いしている場合には、他の猫同士でじゃれ合ったり、グルーミング(毛づくろい)をし合ったりしているときにも、この中低音のゴロゴロ音を聞くことができるでしょう。

 

 

・何かをして欲しいときや甘えたいときに出すゴロゴロ音は高音

 

猫が高音のゴロゴロ音を出しているときは、何かをしてほしいときや、甘えたいときの意味合いがあります。ちなみに、このゴロゴロ音は、220〜520Hz(ヘルツ)の間くらい、平均380Hzとなっています。この周波数は、実は人間の赤ちゃんが泣く声と非常に似ているのです。

 

そのため、高音のゴロゴロ音を聞くと、飼い主も「何かしてほしいのかな?」と急かされているような気分になりやすいと言えます。なお、この高音の周波数のゴロゴロは、猫が人間と共生してきた歴史の中で学習し、遺伝的に身につけたものだと考えられています。

 

 

・苦しいときや怯えているときに出すゴロゴロ音は低音

 

猫の飼い主の皆様に気をつけていただきたいのが、低音のゴロゴロ音です。苦しみ・怯え・痛みなどを感じているときに出すとされており、出産時や死に際にも出す場合があるため、このようなゴロゴロ音を飼い猫が出している場合は、細心の注意が必要です。

 

猫は、体調不良でギリギリの状態になるまで、自分が弱っている姿を見せない動物です。そのため、寝そべって苦しそうにゴロゴロと低音を出している場合には、かなり体調が良くない可能性も考えられるので、速やかに最寄りの動物病院へ連れて行き、獣医師の診察を受けましょう。

 

 

 

ゴロゴロ音を出さない猫もいる?

 

 

 

 

ここまで、猫がゴロゴロ音を出す前提で解説を続けてきましたが、まったくゴロゴロ音を出さない猫はいるのでしょうか。

 

実は、猫の出すゴロゴロ音には個体差があり、中には、ほとんどゴロゴロ音を出さないケースもあるようです。特に、人慣れしていない猫や、人にあまり甘えない猫などは、ゴロゴロ音を出すことが少ない傾向にあります。

 

一生ゴロゴロ音を出さない猫もいるようですが、なぜ、このような個体差が生まれるのか、詳しいことはまだ解明されていないのが現状です。ゴロゴロ音を出さない猫の場合は、スキンシップを多めに行って人慣れを促すなど、焦ることなく、信頼関係をつくる工夫をするようにしてみましょう。

 

 

 

猫のゴロゴロ音は人間を癒すセラピー効果を持っている

 

 

 

 

実は、猫のゴロゴロ音には、人間を癒すセラピー効果があります。猫のゴロゴロ音の周波数は、25Hz(ヘルツ)前後の低周波だと言われていますが、20〜50Hzの音は、人間の身体の緊張をほぐす役割を果たす、副交感神経の働きを優位にする効果を持っているのです。

 

副交感神経は疲れた身体を回復させる機能を持っているため、猫のゴロゴロ音を身近で聞くことにより、ストレス発散の効果が期待できます。

 

さらに、猫のゴロゴロ音によって発せられる低周波には、セロトニンと呼ばれる多幸感をもたらす脳内物質の分泌を活性化する働きもあるとされており、自律神経やホルモンバランスの調整にも効果が見込めます。

 

 

 

猫が苦しそうにゴロゴロ音を出し始めたら、動物病院で獣医師の診察を受けよう

 

 

今回は、猫がゴロゴロと喉を鳴らす意味や理由、仕組み、人間にもたらす効果などについての基礎知識を詳しくご紹介してきました。

 

お伝えしたとおり、苦しそうに低音のゴロゴロ音を猫が出しているときは、何らかの体調不良を訴えている場合が考えられます。

 

このような様子が愛猫にみられた場合には、早めに動物病院に連れて行って獣医師から診察を受け、早期に原因を究明し、治療を行うことを心がけてください。

監修者情報

MSDアニマルヘルス株式会社 コンパニオンアニマル事業部 テクニカルサービス
獣医師 釜田 尚彦
東京大学農学部獣医学科卒

運営者情報

  • MSDアニマルヘルス株式会社
  • 住所:東京都千代田区九段北一丁目13番12号 北の丸スクエア
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