2020年5月18日
人間に被害が及ぶ?猫ひっかき病(バルトネラ症)の原因・症状・治療方法とは
愛猫を飼っている飼い主さんは、猫からうつされる可能性のある病気を、事前に知識として取り入れておくべきでしょう。今回ご紹介するのは、人に被害が及ぶ可能性のある「猫ひっかき病」についての基礎知識です。猫ひっかき病の原因・症状・治療方法など、詳しくお伝えしていきます。
人間に被害が及ぶ?猫ひっかき病の原因と症状とは
猫ひっかき病は、人間に被害が及ぶことをご存知でしょうか。ここでは、猫ひっかき病について、原因や症状をご紹介します。
・猫ひっかき病とは
猫ひっかき病とは、その字面のとおり、「猫にひっかかれることでうつる病気」のことを意味しています。バルトネラ菌と呼ばれる細菌を持ったネコノミが、猫の血を吸血することにより、猫に感染します。
バルトネラ菌は、猫にとっては常在菌にあたるため、無症状となりますが、このバルトネラ菌に感染した猫に人間がひっかかれると、傷口が化膿したり、発熱してリンパ節が腫れたりする症状に悩まされることになります。
なお、猫ひっかき病はバルトネラ症と呼ばれることもあります。
・猫ひっかき病の原因
猫ひっかき病の原因は、ネコノミが持っているバルトネラ菌(Bartonella henselae)です。ネコノミが媒介となって、猫に感染します。世界中の猫の5〜20%(日本では7.2%)が、このバルトネラ菌をネコノミに感染させられて持っていると言われています。そして、バルトネラ菌を持っている猫に、爪でひっかかれたり、噛みつかれたりすることで、人間に被害が及ぶのです。
・猫ひっかき病の症状
猫ひっかき病は、バルトネラ菌を持っている猫からひっかかれた後、2週間ほどの潜伏期間があります。その後、傷跡が腫れ上がってずきずきと痛み、発熱がみられ、数週間〜数ヶ月もの長期間にわたってリンパ節の腫れが出るようになります。
また、猫ひっかき病を発症した人のうち、約0.25%の割合で、脳症を併発することがあるため、注意が必要です。脳症については、リンパ節が腫れ上がった1〜3週間後に、痙攣の発作や意識障害がとつぜん起こります。
このように、猫ひっかき病は重篤な合併症を引き起こす恐れもあるため、もしも症状がみられた場合には、早急に治療が必要であるといえるでしょう。
猫ひっかき病の診断方法および検査方法
猫ひっかき病の確定診断を行うための代表的な検査方法としては、PCR検査と抗体価検査があります。
猫ひっかき病のリンパ節が腫れる症状に類似した感染症として、野兎病、鼠径リンパ肉芽腫、真菌感染症、ブルセラ症、抗酸菌感染症などがあるため、猫ひっかき病かどうかを明確に診断できない場合には、これらの微生物調査も実施します。
猫ひっかき病の治療方法
人間が罹患した場合の猫ひっかき病の治療方法は、投薬療法がメインとなります。猫ひっかき病は、自然治癒する場合もあるものの、放置しておくと完治まで数ヶ月以上かかることがあります。
また、免疫力が下がっている高齢者の方や、免疫不全をお持ちの方は、猫ひっかき病の症状が重篤な状態となり、脊髄障害および麻痺などの症状が合併して起こる危険性があるため、早期に治療が必要です。
猫ひっかき病で投薬する治療薬は、マクロライド系の抗生物質が挙げられます。その他、テトラサイクリン系の抗生物質も効果がみられるとされています。
猫ひっかき病の予防方法
それでは、猫ひっかき病にならないために、未然に予防するには、どのような方法があるでしょうか。ここでは、具体的な予防方法をお伝えしていきます。
・猫の爪を短く切る
猫ひっかき病の原因となるバルトネラ菌が、人間の体内に侵入するいちばんの要因は、猫のひっかき傷です。猫にひっかかれても怪我をしないようにするためには、猫の爪を短く切ることが必要となります。飼い猫の爪の手入れは、入念に行うことをおすすめします。
・愛猫を外に出さない
完全室内飼いの猫の場合は、ネコノミに寄生される可能性がほとんどないため、猫ひっかき病の原因となるバルトネラ菌をもらってしまう心配はあまりありません。しかしながら、遊ばせるために一時的に外に出していたり、外で飼っていたりする場合には、草むらなどでネコノミに寄生されてしまう危険性が高まります。ネコノミに寄生されないようにするためにも、愛猫はなるべく外に出さず、室内で飼育するように心がけましょう。
・野良猫に触らない
野良猫は普段から野外で生活をしているため、ネコノミに寄生されやすく、猫ひっかき病の原因となるバルトネラ菌を持っている可能性が高いです。そのため、野良猫にひっかかれてしまうと、猫ひっかき病に罹患してしまう危険性が高まります。路上で野良猫を見かけても、不用意に手を出して触ろうとしないように心がけてください。
・食べ物を口移しで与えない
飼い猫を愛するあまり、食べ物を口移しで与える習慣のある飼い主さんは、唾液を経由してバルトネラ菌をもらってしまう可能性があるので注意しましょう。溺愛するばかりに口移しで食べ物を与えたくなる気持ちもわかりますが、猫ひっかき病に感染するリスクを強めてしまうので、口を近づけて唾液を交換しないようにしてください。
・ネコノミの駆除
猫ひっかき病を予防するために、有効な手段がネコノミの駆除です。
ネコノミの駆除方法は、クシでブラッシングを行ったり、シャンプーで綺麗に洗ったり、部屋を徹底的に掃除したり、燻煙・燻蒸式の殺虫剤を使用したりするなど、様々な方法が挙げられますが、これらの手段はあくまでも目に付くネコノミの成虫をある程度取り除くだけの方法にとどまるため、根本的な解決にはなりません。
ネコノミを確実に駆除したい場合には、動物病院で獣医師によって処方される「ブラベクト®スポット猫用」を使用することをご検討ください。
「ブラベクト®スポット猫用」に含まれる有効成分「フルララネル」は、ネコノミだけでなく、マダニの駆除・対策にも効果を発揮し、猫に健康被害を及ぼす可能性のある寄生虫駆除に大きな効果が期待できます。
「ブラベクト®スポット猫用」は、処方から24時間以内にノミ・マダニ駆除の効果を発揮する即効性があり、早急にノミ・マダニ対策を実施したい場合に有効な手段だと言えます。
さらに、駆除効果の持続する期間が3か月となっており、他のスポットタイプの駆除薬と比べても長いため、何度も投薬をしなければならないような手間がかからず、お値段もリーズナブルです。
猫ひっかき病を予防するためにも、動物病院で獣医師の診察を受けてネコノミ対策を!
今回は、猫ひっかき病とはどのような病気なのか、症状・原因・治療方法などの詳しい基礎知識や、おすすめの予防方法についてお伝えしてまいりました。
猫ひっかき病は、人間に被害が及ぶ感染症であるため、飼い主さんや家族が被害を受ける前に、事前に予防することが重要となります。
先にご紹介した「ブラベクト®スポット猫用」は、獣医師の診察を受けたうえで処方されるお薬となっていますので、まずは愛猫を動物病院に連れて行くことを検討しましょう。
動物病院に行くと、ノミ・マダニ対策となるお薬の処方以外に、愛猫に健康被害をもたらすその他の症状の診察も可能となります。愛猫と、飼い主さんやご家族の健康・安全を守るためにも、動物病院での受診は必要であるといえるでしょう。
監修者情報
MSDアニマルヘルス株式会社 コンパニオンアニマル事業部 テクニカルサービス
獣医師 釜田 尚彦
東京大学農学部獣医学科卒
運営者情報
- MSDアニマルヘルス株式会社
- 住所:東京都千代田区九段北一丁目13番12号 北の丸スクエア
- お問い合わせ:msdah.help@gmail.com