2020年10月7日
猫の妊娠はいつから?猫の妊娠の兆候や期間・出産準備などで知っておきたい基礎知識!
愛猫がもしも子猫を授かった場合、何をどうすれば良いのか知識がないと、慌てふためくことになるかもしれません。そのため今回は、猫が妊娠した時に知っておくべき基礎知識や、妊娠の兆候、出産準備などについて詳しくお伝えしていきます。
猫が発情する周期はどれくらい?いつから始まるのか
目次
・メス猫の発情期はいつから?
個体差はあるものの、メス猫の発情期は、生後6〜10ヶ月頃から始まります。メス猫の発情する周期については、日照時間の影響があり、2〜4月、6〜9月などの日が長く出ていて比較的暖かい頃に発情期を迎える個体が多いようです。
ただし、室内飼いの猫は季節に関係なく年に2〜3回の発情期を迎える場合もあります。これは、人工的な照明も猫の発情期に影響を与えるためです。なお、長毛種よりも短毛種のほうが早めに発情期がくる傾向がみられます。
・オス猫の発情期はいつから?
オス猫の発情期は、メス猫の発情期と同じく、生後6〜10ヶ月頃から始まります。ただ、オス猫の場合は、発情したメス猫が発するフェロモンを察知し、発情が誘発されるような仕組みになっているため、メス猫のように決まった時期や周期があるわけではありません。
・猫はいつから妊娠できる?
猫は発情期を迎えれば、基本的に妊娠することは可能です。猫は発情期に交尾しなければ排卵が起こらない特徴があります。猫の妊娠期間は、年齢や品種、健康状態などによって個体差があり、62日〜67日程度となっています。
・猫は一度に何匹くらいの子猫を生む?
猫は一度に1〜8頭くらいまで、多くの子猫を生みます。そのため、メス猫の避妊しないでおくと、多くの子猫が生まれてしまい、飼えなくなってしまう可能性もあるため、注意が必要です。猫の妊娠を望まない場合は、生後6〜8ヶ月頃の最初の発情前が、避妊手術のベストなタイミングだとされています。
猫が妊娠する確率はかなり高い
・猫は妊娠しやすい「多排卵動物」
猫は妊娠しやすい「多排卵動物」であり、一度に5〜6個の卵子を排卵することが多いです。基本的には、一度の交配で妊娠するケースは少なく、複数回の交配によって妊娠に至ります。なお、猫は多排卵動物であるため、メス猫が発情期に複数のオス猫と交尾をすることで、父親の違う子どもを同時期に妊娠することがあります。
・猫は「偽妊娠期間」に入る場合もある
排卵しても着床に至らなかった場合、猫は「偽妊娠期間」に入る場合があります。偽妊娠とは、実際には妊娠していないにもかかわらず、妊娠しているときと同じような兆候(乳腺が張ったり、母乳が出たりする)がみられるケースを指します。
猫の交配の流れ
猫の交配の流れは以下のとおりです。
- 発情したメス猫の前で、オス猫が鳴いて、交配へ誘います。メス猫が承諾すると、お尻を持ち上げる「ロードシス」と呼ばれるポーズを取り、オス猫は「マウンティング」と呼ばれる馬乗りの体勢になって、交配を行います。
- オス猫の性器には刺のようなものがついているため、交配中にメス猫は痛みを感じて、大きな鳴き声を出します。
- 交配は数秒程度で、交配が終わるとオス猫は離れ、メス猫は陰部の手入れを始めます。そこからオス猫が様子を伺い、メス猫に接近して、再交配を繰り返します。1日に2〜3回の交配を3日間程度にわたって繰り返すケースが多いようです。
猫の妊娠中の兆候や妊娠期間について
・猫の妊娠中の兆候
猫の妊娠の兆候については、妊娠4〜6週頃にお腹が大きくなってくることで、飼い主が気づくケースが多い傾向にあります。前出の通り、猫は妊娠しやすい動物であり、妊娠の確率は90%以上もあるとされています。
妊娠の兆候が見られた場合は、速やかに動物病院で獣医師の診察を受けるようにしてください。動物病院では、触診・超音波検査・エコー・レントゲンなどを随時行い、妊娠期間や妊娠している子猫の頭数などを診断してもらうことができます。
・妊娠期間中の猫の状態
妊娠期間中の猫の状態は、以下のような変化がみられます。
- 妊娠20日前後、乳首がピンク色になり、張りがみられるようになります。1週間程度、食欲が落ちる場合もあります。
- 妊娠30日前後、お腹や乳房が大きく膨らみ、妊娠していることが見た目で判断できる程度になります。
- 妊娠40日前後、活動量が減少して、攻撃的になる場合もあります。食欲が増して、体重も増える時期です。
- 妊娠50日前後、お腹の中にいる子猫たちが活発になり、胎動を感じ始められる時期となります。
- 妊娠60日前後、いよいよ出産が近づきます。猫の出産の際に準備すべきものについては、次項で詳しくご紹介していきますので、ご確認ください。
猫の妊娠・出産で準備すべきものとは?
・栄養管理
猫の妊娠・出産を滞りなく見守るために大事なのが栄養管理です。猫の妊娠後、1ヶ月程度は通常の食事量で問題はありません。その後に少しずつ、食事量を増やす調整をしていきましょう。ただし、太り過ぎは難産の原因となるので、餌を与えすぎないように注意してください。
・産箱の準備
妊娠50日〜60日で、出産が近づいてきたら、母猫が落ち着いて出産を行うことができるように、産箱を用意してあげましょう。箱の中にはタオルやペットシーツを敷き詰め、出産時の出血などの汚れに対応できるようにしておきます。
・万が一の難産などのトラブルに備える
万が一の難産などのトラブルに備え、行きつけの動物病院の獣医師と、いつでも連絡が取れる状態にしておくとベストでしょう。出産時間が夜間になったり、最寄りの動物病院が休診中だったりした場合に備えて、救急対応が可能な動物病院を事前に調べておくことも重要です。
・子猫を育てやすい環境作りをする
猫の妊娠・出産は、子猫が生まれてからが、さらに忙しくなります。複数の新しい命を迎え入れ、世話をしていくことは、重い責任を持つことでもあります。子猫を育てやすいスペースの確保や環境の整備を欠かさずに行うようにしてください。
すべての子猫の面倒を見切れないと事前に判断している場合には、里親候補を探しておくことも大切です。猫も人間と同じく、命を持った大切な存在。子猫が生まれた後、準備不足で劣悪な環境におくことのないように、細心の注意を払いましょう。
猫の妊娠の経過観察や出産準備で不安があれば、動物病院で獣医師の診断を
今回は、猫が妊娠した時に知っておくべき基礎知識や、妊娠の兆候、出産準備などについて詳しくご紹介してまいりました。
猫は犬と比べても、比較的安産の傾向があり、命にかかわるような難産になるケースは少ないとされていますが、個体差があるため、油断はできません。そのため、猫の妊娠の経過観察や出産準備で不安が少しでもあれば、動物病院で獣医師の診断を受けて、アドバイスをもらいましょう。
動物病院では、妊娠している猫の状態を診察してもらえるだけでなく、健康診断を受けさせることができたり、寄生虫(ノミ・マダニ)の予防を行ってもらうことができたりします。そのため、母猫の健康を守り、健やかな子猫たちを迎え入れるためにも、妊娠後は最寄りの動物病院で、獣医師の診察を受けるようにするのがベターです。
監修者情報
MSDアニマルヘルス株式会社 コンパニオンアニマル事業部 テクニカルサービス
獣医師 釜田 尚彦
東京大学農学部獣医学科卒
運営者情報
- MSDアニマルヘルス株式会社
- 住所:東京都千代田区九段北一丁目13番12号 北の丸スクエア
- お問い合わせ:msdah.help@gmail.com